嫁を動かす

HOW TO WIN WIFE AND INFLUENCE PEOPLE

お向かいのフィリピーナのワイフが怒っている件

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愛されないということは不運であり、愛さないということは不幸である。

 

アルベール・カミュ(フランスの小説家) 

 

アンニョイな週末の朝、の静寂を打ち破る金切り声。お向かいのフィリピーナのワイフがいつものようにタガログ語で怒っている。奥さんより20歳くらい年上の日本人の旦那さんは、お約束で何も言わず空気のように佇んでいる。

 

遠い異国から嫁に来て、奥さんもストレスが溜まっているのだろう。若いワイフを貰った旦那さんも、奥さんの実家を支援しなくてはならないので大変なんだろうなと、ワタクシは、勝手な想像を巡らせている。

 

我が家のワイフとは気持ちは通じないが、言葉が通じるだけ良かったと、ベランダでタバコを吹かしながら、意味のわからないタガログ語が心地よく耳に響いていた。


夫婦ゲンカがひと段落し、ワタクシが部屋に入ろうとすると、ベランダに出入りできる窓が開かない。困った。容疑者の娘氏は、隣の部屋でアニメに夢中になっているようだ。

 

ワタクシは閉じ込められたベランダにゆっくり腰を下ろして、自分の不運を嘆いた。思えば、運が悪かったと言えば、その通りの人生だった。就職活動をしても、生まれ持った不真面目な態度が災いして、過酷な労働で知られる居酒屋チェーンですら内定をもらうことができなかった。

 

ちょうど今の時期、周囲が内定をもらって遊び呆けている中、クソ暑いスーツを着て面接を受けに行ったものだった。秋になってやっと内定をもらった会社に就職することができたが、入った会社は超絶なブラック企業だった。

 

同僚のオジサン達はすでに壊れていて、仕事中にひたすら株取引をしたり、ソリティアをしたりしていた。唯一、仕事を教えてくれた先輩は、ワタクシが入社して半年経たずに、新興宗教の職員に転職してしまった。


そんな中で踏ん張っていたが、体がドンドンおかしくなっていった。出張で新幹線に乗っている最中に、上越新幹線の高崎と大宮の間でパニック状態になって、トイレの中で涙が止まらなくなったとき、会社をやめることを決意した。

 

以来、とにかく新幹線がよく通過する熊谷を恨むようになった。熊谷だけは絶対に許さない。クマガイと読む名前の人もキライである。

 

そんなワケで、体調が回復した今でも閉所を苦手としている。息が苦しくなりながら、ベランダから窓越しに部屋を眺め、思い出したのは名著「ビジョナリーカンパニー」に出てくる窓の話であった。

 

窓と鏡

 

第五水準の指導者は成功を収めたときは窓の外を見て、成功をもたらした要因を見つけ出す(具体的な人物や出来事が見つからない場合には、幸運をもちだす)。

 

結果が悪かったときは鏡を見て、自分に責任があると考える(運が悪かったからだとは考えない)。

 

「ビジョナリーカンパニー②」56ページより引用

 

なるほど。ワタクシが今、ベランダに締め出されたのは、運が悪かったのだろうか?窓越しに幼い娘を見て、責任を押し付けることはカンタンである。

 

しかし、窓に映る自分を鏡のようにしっかりと見つめて、自分の問題と向かい合うことができれば、立派な指導者になれる資質を持っているということなのだ。

 

確かにワタクシはお向かいの夫婦ゲンカの様子を眺めることで、ちっぽけな優越感に浸るためにベランダに出た。問題は、ワタクシのケツの穴の小ささにあったのだ。


締め出されてから30分が過ぎ、閉所の恐怖がワタクシを支配し始め、じんわり汗がにじみ出した頃、アパートの掃除のおっちゃんが幸運にもベランダの下にやってきた。

 

「おっちゃん、ヘルプ!」

 

2階のベランダからおっちゃんをデカい声で呼んで、なんとか気づいてもらい、ワタクシは恐怖から解放された。

 

窓と鏡の法則に従い、ワタクシは窓から外を眺めて、掃除のおっちゃんに感謝した。鏡に映った自分を見つめ、娘氏を叱りつけることもなかった。


飛躍した企業もしなかった企業も、特に事業環境に恵まれたなど、運の要素が偏っていたワケではなかった。もちろん、人にも同じようなことが言える。飛躍した企業の経営者は、物事の捉え方が違っていただけだった。

 

幸運だった時は、自分の功績にせず、がんばった社員を褒めたたえて、不運だった時は、鏡に映った自分を見つめて原因を見つけ出そうとした。

 

ワタクシは幸運だと思う。イタズラはするが、健康で元気いっぱいな娘を持っている。おかげで今日のブログのネタもできた。


問題は、家事を放棄して朝からどこかに出かけてしまったワイフである。少々、ワタクシは不運であったかもしれない。だが、鏡に映った自分をよく見てみると、ダラしなく出た腹に問題が詰まっているような気もする。 窓と鏡の法則に従い、マジで痩せよう。

 

確実に言えることは、ワイフを愛している限り、ワタクシは不幸ではないということ。度重なる不運でこんな風に思えるワタクシは、案外、幸運だったりする。熊谷が田舎でなければ、今頃ワタクシはぶっ壊れて会社でソリティアしていたかも知れないのだ。

 

そんなワケで、熊谷が未だに許せないでいる今日この頃であるが、ブログを読んでもらえる読者様がいる幸運にも感謝している。ちなみに本庄早稲田に新幹線が止まったのを見たことはない。