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嫁を動かす

HOW TO WIN WIFE AND INFLUENCE PEOPLE

君の青い車で海にいく件

ワタクシは青い車に乗っている。10万年落ちの中古の軽だが、革貼りに見える偽レザーシートをかぶせてベンツだと自己催眠をかけているので快適である。元々、昔の彼女がスピッツが大好きで名曲「青い車」を聞きながら、青い車で海に行こう♪というネタがやりたくてこの車にしたのだが、その子は「ワタシは人生に安定を求めて生きます」と謎の言葉を残して公務員と結婚してしまった。

アンニョイな午後。数少ないお客サマからお呼び出しを頂戴したので、幸せを運ぶ青い鳥ならぬ車で街に乗り出した。ワタクシもたまには仕事をしているのだ。11月になり冷たくなった風がワタクシの頬をやさしく撫でて、置いてきた何かを見に海に行きたくなったが、踏ん張りの精神で渋滞の道を高速代をケチってトロトロ運転で走行する。お約束でそうなる気はしていたが、約束の時間に遅れそうになり若干焦りながら、道端のJKを凝視しつつ道を急いでいた。

 

もうすぐ約束の地エルサレムならぬ客先の事務所の小汚い雑居ビル、通称「嘆きのビル」に着こうと信号待ちをしていた時、助手席の窓を叩く推定85歳の杖をついた巡礼者風老婆が現る。目の錯覚かと思って二度見したが、まぎれもなく普通のばあちゃん。何事かと助手席の窓を開けると、「ニーチャン、寒い。そこの陸橋のところまで!」「?」ワタクシが若干混乱している内に、巡礼者は勝手に後部座先のドアを開け車に乗り込んでいた。乗りかけた船ならば降りられない、すべてはアラーのおぼし召しと、神の啓示と後続車のパッシングを受けたのでとにかく車を出す。この老婆はなぜ数ある車の中からワタクシのを選んだのであろうか?流しのタクシーも普通に走ってるし、なんでや?もしかして、当たり屋的ななんか新しい犯罪?などと色々考えてはみたものの、まったく答えが出ない。たぶん、青い車がよかったのだろうということにすると、スピーカーからは正宗サンがもう何も恐れないよ~とワタクシにやさしく言葉をかけてくれた。

 

最近、我が家にいる老婆とは目を合わせない訓練をしているため少し緊張して、後部座席に座る老婆と意思の疎通を試みたものの、巡礼者は「ありがたや~」となぜか手を合わせてお祈りを始めてしまった。しかし、介護施設でひたすら認知症のじいちゃんばあちゃんと満州の話をする高度な訓練を受けているワタクシは、老婆が近くの駅まで行きたいということを理解した。しょうがないので勘を頼りに近くの駅に向かうと、老婆は急に「そこ左」「あ~そこの踏切のところ右」と具体的に指示を出し始めたので、二種免許持ちの高度なドライビングテクニックを駆使して細い路地を抜けて老婆が安全に歩ける駅の間近に車を停める。安心した老婆は、「ニーチャン、ありがとう。ほんまありがとう。チョコレートでええか?」と遠慮でなく本気で要らないというワタクシの言葉を無視して、なぜかネチネチの袋に入ったチョコを置いていってしまった。というより、とにかく、早く降りてもらわないともう約束の時間が過ぎているのですよ。

 

そんなこんなで、老婆を降ろして嘆きのビルに遅刻して到着。お客さんの支払いを計画的に忘れる社長に「老婆にヒッチハイクされて遅れました!」と正直に話したのだが、まったく信じてもらえず怒られる。が、来社早々に半年前からまったく支払ってくれなかった未収金をなぜか現金一括でケチな社長が払ってくれるという奇跡を体験する。もしかしたら、さっき拾った老婆は、神様だったのではなかろうか?もうちょっと祈っておけばよかった。嘆きのビルでいつものように「ITの力でわが社に客を増やしてくれ!」「できません!」などと不毛な会話をしつつ、5時間以上の謎の拘束を受けて解放された時には、とっぷりと日が暮れていたのでありました。家に帰ると親戚のオバチャンにお裾分けしてもらったという国産松茸の破片があったので焼いたらさらに小さくなったが、おいしくいただいた。ついでに神様に貰ったチョコもお土産として嫁に渡してみたところ機嫌が良くなったが、ワタクシが腐っているかどうか確認するためにまず嫁に食べさせようとしたことは言うまでもない。嫁のお腹の調子は、今、変わっていくよ~♪

 

今日はワタクシのツイートを尊敬するフミコ先生がいいねしてくれたので、先生風に書いてみた。(所用時間30分)