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嫁を動かす

HOW TO WIN WIFE AND INFLUENCE PEOPLE

雨はいつか止む件

嫁を動かす-旦那 嫁を動かす

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※一般向けの内容ではありません。ただの日記です(長文注意)。

 

「雨は、いつか止むさ」

 

時雨模様の空を眺めて、ワタクシはつぶやいた。それは決戦を前にした、静かな一日の始まりだった。


本日は、捷一号ならぬ提一号と勝手に名付けた作戦を発動する。仰々しい名前だが、ただ単に、税務署に確定申告書を提出しに行くだけである。

 

といっても、大阪人はなぜか最後の最後まで血の一滴の金を惜しんで、節税に励むという間違った習性を持っている。よって、税務署には気の立った人間が大量に発生するため、一瞬たりとも気の抜けない作戦となる。

 

ワタクシは、濃紺に真紅のラインが入った姑氏のママチャリ、通称「時雨号」にまたがり、雨のレイテ湾を目指して抜錨した。


年度末の点数稼ぎに余念のない、ガトー級潜水艦と化した警察官が多数配備され、町はさながらシブヤン海と化している。

 

社会で経験を重ね、大きな船体は敵機の恰好の餌食となることを、町でカツアゲされたり、ブラック企業で搾取されたりしながら学んだワタクシは、40歳を前にして、潜水艦のような一流のモグリとなった。

 

敵に見つからない能力だけが突出して向上しているため、そう易々とは沈まない。いや、すでに沈んでいるだけか。

 

信号無視をして捕まったマークXに、沈み行く武蔵の面影を見ながら、小雨のぱらつくシブヤン海を抜けると、税務署に向かうオバチャンが蠢くスリガオ海峡であった。

 

ブラック企業で先に漆黒の海に沈んでいった同期達を偲びながら涙を拭い、西村提督の命令を胸にワレ単艦突入ヲ敢行ス。


何事もなくレイテ湾もとい、税務署に到達。警備員のオジサンに「遠くの駐輪場に止めてもらうと税金が1円お安くなります」との偽情報を流され、若干の混乱も生じたが、無事に提出を済ませて任務完了となる、ハズだった。

 

しかし、ここで軍令部から緊急電を受信。「反転シ、役所ヘ突入サレタシ」

 

嫁から役所で住民票を取って来いとの指令である。反論することもなく素直に謎の反転をキメ、一路、役所へ舵を切る。

 

人生において、意味不明な反転を繰り返し、攻勢に転じることもなく、燃料も弾薬も尽きたワタクシにとって、無意味な反転は得意とするところである。


難なく役所に到着し、パソナの社員証をつけた丁寧な派遣スタッフになんだか親近感を覚えながら、作戦の成功を必死に打電。

 

すると、またしても軍令部から、「反転シ、小児科へ診察券ヲダサレタシ」と緊急電を受信。無線封鎖をしておけばよかったと思いながら、本日二度目の反転をキメる。

 

サンベルナルジノ海峡のような小道を抜けて、小児科に到達するもすでにそこには、上陸船団もとい、患者が大挙して押し寄せ病院が開くのを今か今かと待ち構えていた。

 

ワタクシは、囮となり沈む覚悟で患者の列に並び、診察券を出して帰路に着いた。


夕闇せまる中、やっとの思いで佐世保に帰投したワタクシを待っていたのは、傷病兵、もとい娘の小児科への輸送任務であった。 

 

もうヤケクソで本日3度目の反転を開始。傷病兵を時雨号に搭乗させ、重くなった船首をサマール島に向けて、特攻を開始したのであった。

 

小児科のセンセイに、「なんだか右のワキから油の流出が止まらないんですが…」と真剣に相談したところ、看護師さんに大爆笑されてワレ轟沈ス。

 

大した戦果もあげられぬまま、とっぷりと日が暮れた頃、鉄の塊となったワタクシは、治療を終えた傷病兵を乗せて母港に帰投した。

 

気付けば、朝から降っていた雨はすっかり上がり、月明かりに照らされたママチャリ時雨号は神々しいまでに輝くのであった。


戦況は明らかに不利、戦力も補給もなく勝ち目のない戦いがあなたを待っているかもしれない。しかし、謎の反転を繰り返してでも、天佑を信じて生き抜くことであなたに光が当たる時がやってくる。

 

そう、雨はいつか止むのだから。

 

おわり