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嫁を動かす

HOW TO WIN WIFE AND INFLUENCE PEOPLE

コマ送り

嫁を動かす-旦那

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アンニョイな日曜日。昼過ぎまで爆睡しているとお腹の上に激しい衝撃が走った。じゃじゃ馬娘がワタクシに馬乗りになりながら、自転車の練習に付き合えと訴えているようだ。

 

幼稚園にもすっかり慣れ、しりとりもできるようになった彼女は、貪欲にも自転車をコマ(補助輪)なしで乗れるようになりたいそうだ。伸び盛りの年頃でコワい物などないのであろう。

 

プリキュアを見逃して不機嫌極まりない父は、世の中のコワさを子に教えるため、ボロボロの体にムチ打って練習に付き合うことにした。


さっそく、工具を出してコマの取り外しにかかる。いつの間にか身長も伸びているので、ついでにサドルの高さも調整してあげよう。

 

しかし、すでにサドルを最大の高さまで上げても、まだ少し低いくらいになってしまっていた。そろそろ、大きい自転車に買い替えないとイケナイ。なんてこった。父は、未だに姑氏から下賜された二十年モノのママチャリに乗っているというのに。

 

とりあえず、高さを最大にしてコマを片方だけ外し、これで練習するように言ってみた。すると、娘氏はコマを両方外せと主張する。


勇気ある挑戦には敬意を表したい。しかしながら、無謀と挑戦の間にはしっかりした線引きをしないと、父のようにブラック企業で消耗することになる。

 

まずは、片方だけでの練習を勧める父に、娘氏は真っ向から両取りを主張して議論は平行線となった。にらみ合う父と娘。コンクラーベをしていても仕方ないので、父が譲って両方のコマを取ってみることにした。

 

意気揚々とコマがなくなり不安定になった自転車にまたがる勇者。まったく前に進めない。無謀な挑戦であったことに薄々気付いたようだ。それで良いのだ。父も勇気ある撤退と謎の反転を繰り返してここまで来た。


困難に直面した娘氏は、練習を中断し再度コマを付けるように言って来た。なるほど。しかし、片方だけではなく両方付けろと言う。

 

ちょっと待て、それでは、自転車の練習にならないではないか!またも片方だけを主張する父と、両方付けろという娘氏の意見は対立した。さてはてどうしたもんか?

 

最近、めっきり出番が少なくなってしまったが、尊敬するD・カーネギー先生の名著「人を動かす」には、こんなことが書いてある。

「人にものを教えることはできない。みずから気づく手助けができるだけだ」。

 

「人を動かす」168ページより引用

なるほど。せっかく自転車の乗り方を教えてあげようと思ったのだが、できないことだった。仕方ないので、先生の教えを守ってまたしても娘氏の意見を採用することにした。 


そんなこんなで、せっかく外したコマをまた両方取り付けて、練習にもならない練習は再開となった。コマが付いていれば、なんの苦労もなく前進できる。せっかくなので散歩がてらに近所の駄菓子屋に向かうことにした。

 

嬉しそうに自転車を漕ぎながら、人生の舵取りを練習する娘氏。舵が折れて毎日、家で家事をする父。娘の航海の無事を祈るばかりである。

 

駄菓子屋でお菓子を調達して、いつものように近所の公園に寄り道し、滑り台を滑ってノラ猫を追っかけて帰宅。練習を終えた娘氏は、三時のおやつにありついて満足するのであった。


しばらくすると、おやつで燃料を補給した彼女は、またしてもコマを外せと主張し出した。しかし、今度は片方だけでいいとのこと。本日三度目の自転車屋さんである。

 

家の前の道路で、やっと練習らしい練習を始めた愛娘をワタクシはパシャッとシャッターに収めた。

 

その夜、パソコンに秘蔵された我が子フォルダに新たな1枚が加わった。初めて自転車に乗った日の写真と今日の写真をコマ送りにして、娘の成長の一コマに目を細める父であった。