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嫁を動かす

HOW TO WIN WIFE AND INFLUENCE PEOPLE

会津妻は電動こけしの夢を見るか?

※エイプリルフールの記事です。こんな感じになっていました。

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アンニョイな午後。京都のホテル本能寺館に来ている。今日はここでとあるはてなブロガーの出版記念パーティーが開かれているのだ。

 

パーティーの開催に際して、株式会社はてな様に協力をお願いしたところ、本社からほど近い、このホテルの宴会場を押さえて無償で提供してくれた。

 

なんの因果か歴史的な大炎上を起こした本能寺を見渡せる場所であることは、恣意的な気がしなくもないが、炎上を糧に人気ブロガーにのし上がった本日の主役にはお似合いの場所であるような気もしている。

出版

思い起こせばこの一年、ワタクシはこの日のために東奔西走する毎日であった。名も無き会津の主婦が綴った初エッセイ集を出版したいという話に耳を貸してくれるほどヒマな出版社は皆無であった。

 

周囲からも諦めて電子書籍でのスタートで良いのではないか、という意見もたくさん貰った。だが、ワタクシはあえて紙の本という質感にこだわりたかった。彼女が綴った優しい文章を紙の手触りと一緒に届けたいという気持ちが先に来ていた。

 

意を決して最後の最後にやって来たのは、ワタクシがまったく信仰していないのに入信している新興宗教の出版部門だった。


ここでは、教祖サマの書いた本かお経の出版しかしないのだが、本を出版して流通させることはできる。

 

ワタクシは物心つく前に親に勝手に入信させられて以来、30年以上の信者であるから、会員番号だけを見ればほぼ大幹部クラスの信者である。

 

会員証を片手に出版部門の入っているビルにやってきたワタクシは、職員と話をするまではカンタンであった。


「ムリです!」と断言する職員に、昔、トーチャンに売りつけた高い仏具が金メッキだったという本当の話をブログに書きまくるとつぶやくと、快く千部だけ刷ることを了解してくれた。

 

ただし、千部をそのまま買い取ってほしいとのこと。なかなか厳しい条件ではあったが、それ以上は相手も譲れない様子だったので条件を飲むことにした。

 

ワタクシはここで一計を案じ、初版本すべてを大手ネット通販サイトから予約購入することにした。この判断がその後のステマ作戦の成功を生む要因となった。

 

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ステマ販売

かくして、名も無き主婦が綴った一冊の本はISBN番号の振られた正式な出版物として、世に出ることとなった。出版日に一瞬だけ通販サイトの書籍売上一位になったところをスクショに撮ると、しばらくしてワタクシの手元にやってきた段ボールの山。

 

その日から、交流のあるブロガーに献本させてほしいと連絡しまくって、スクショと一緒に10冊ずつ送る作業を続けた。ヒマを見つけては駅前でビッグイシューを売るオジサンの横で手売りもした。

 

そうこうしている内に、献本したブロガー達がレビューをブログに書き始めた。彼女の人柄がそうさせたのであろう、お世辞に近いようなレビューばかりであったが日に日にその数は増えていった。


同時に、通販サイトのレビューにも投稿が増えていった。ワタクシが適当にデザインして作った彼女のスクール水着姿を印刷した栞が、尾ひれが付いてウワサになっていた。

 

「この栞だけは一生の宝物にします!」と誰かが冗談で書いたことをみんなが面白がってレビューにコピペしていった。

 

しかし、この本は、書店はもちろんどこの通販サイトにも売り切れのまま「入荷予定は未定です」という状態が続いていた。それもそのハズ、ワタクシの手元にまだ半分以上が不良在庫として残っていただけなのだ。


次なる作戦に向け、ワタクシはコードネーム「赤顔」の異名を持つブロガーを召喚することにした。彼はすかさず「今、転売したら利益の出る中古本10選」という記事を投下し、本への注目はさらに上がることとなった。

 

本の希少性が最高潮に達した頃、ようやく出版社も重い腰を上げて重版を決めてくれた。最初は千部単位であったが、その回数は増え次第に間隔も短くなっていった。

 

ちなみにワタクシと出版社の間で秘密の四分六キックバック契約を結んでいたことは、まだ誰にもバレていないようだ。

スク水効果

本の売り上げは加速度的に増えていった。有名な文学賞にノミネートされたことも大きかったが、スク水栞が大きな効果を生んだようだ。

 

それもそのハズ増版されたモノには、栞がついておらず、中古市場では初版本がスク水ありとしてプレミアが付くようになっていたのだ。

 

ニセモノも多く出回っていたが、ワタクシが密かに偽造防止のシリアル管理をしていたおかげで、初版の本と栞に記載されたシリアル番号を専用サイトで入力すればカンタンに真贋が判別できたのだ。


かくして、この本は発売1年を待たずして30回の重版と無名の新人作家としては異例の10万部超のベストセラーとなり話題をさらっていったのだった。

 

作者である当の本人は、ワタクシがこのような裏工作に従事していることをまったく知らず、なぜ売れるのか?狐につままれた気分であったそうな。しかし、ワタクシのマージンが引かれた印税も毎月のように口座に振り込まれ出し、どんどん金額が大きくなってきたので、スーパーで半額シールを貼った食材を買わなくて済むようになったと喜んでいた。

 

そして、10万部を突破したところで、周囲からお祝いをしようという声が上がり、ワタクシが今日、記念パーティーをセッティングしたというワケだ。

 

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パーティー

というワケで会場では先ほどから、来賓の挨拶が続いている。主役の彼女は、しまむらで買ったと思われるグリーンのワンピースに安物のパールのネックレスをして、少し緊張した様子で壇上に立っている。

 

立食形式のテーブルを見渡すと右前の方に、隊助会と呼ばれている嫌われ者の集団が、人気者のヒトデ君を囲んで必死にブログの儲け方を白状させているようだ。

 

左手には主婦つながりの妙齢の女性ブロガー達の姿も見える。中心には有名な主婦ブロガーがいるようだが皆が必死に目を合わさないようにしているようである。


真ん中の方では、キレイな着物を着たかんどーさんが、iGCN氏に持参したセミの幼虫のカラアゲを食べさせようとしているようだ。その横でオマキさんは酔っぱらって寝てしまったのだろうか。

 

ちなみに推薦文は意外性のあるはてなブロガーきょうもえ氏に頼んでみた。断られるかと思ったが、1文字2円の報酬だけを条件に快く引き受け、一切改行のない文章をキッチリ千字で書き上げ送ってくれた。

 

彼が汚い言葉を使わず批判もせず、洗練された推薦文を綴ったことが、一部のはてなーで話題となったことは言うまでもない。


そうそう、大物のフミコ氏も会場にやって来たが、受付に顔ハメパネルで立っていた前田君を無視して、なぜか「ミーシャ」とつぶやきながら厨房の奥の洗い場の方へ消えていった。

 

後ろの方ではコミュニケーションに難のあるホビヲ画伯と今泉画伯がイラスト対決で遊んでいるようである。今回、ホビヲ画伯は表紙絵を、今泉画伯は挿し絵を担当した。このイラストも話題を呼んだのだが、2人とは報酬の増額を巡って未だにワタクシと争いが続いている。

 

それぞれ強烈な個性を放つ人達が集まったようであるが、そんな人達に愛される本日の主役はたぶんよっぽどの魅力があるのだろう。

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魅了

ちなみに、彼女の綴ったエッセイはとてもヘタクソで素人丸出しの文章だと、一部の批評家達にボロクソに叩かれたことは言うまでもない。もっとも、ヘタクソだという点はワタクシも同感なのであるが。

 

しかし、彼女がたまに繰り出すプロの物書きにも決して真似できない能力に、読者は魅了されているのである。たぶん本人も気付いていないのだろう。

 

それを彼女に教えてしまうと台無しになることを、読者もよくわかっていて決して口にしない。かく言うワタクシもその読者の一人なのだ。


今回の大ヒットも実際のところ、ワタクシの仕掛けたステマ作戦が功を奏したのかどうか定かではない。しかし、本を手に取った人達の心に何かが刺さったことは確かなようだ。

 

彼女はこれからも、ブログを綴りながら小説なんかにも挑戦したいと思っているそうだ。彼女であれば、また何かやってくれるに違いない。それは彼女の周りにいるすべての人達の願いでもあるからだ。

 

会場では、かんどーさんが勝手にマイクを握りカラオケを始めたようだ。


やさしさに包まれたなら(cover)

 

会場のカオスな状況は彼女のブログの雰囲気によく似ている。だが、彼女の織りなす世界は本当に優しさに包まれている、そんな気がした。

 

会場の後ろでずっと立っていたワタクシの手には、数年前、ワタクシが彼女のブログに適当に綴ったブックマークコメントが、ベストセラーとなった本のタイトルとして書かれていた。

 

「会津妻は電動こけしの夢を見るか?」

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※この物語はフィクションです。登場した人物・団体はすべて架空です。